睡眠時無呼吸症候群の検査と治療

  最近、メディアで取り上げられているバスや列車事故あるいは自動車事故の中には、居眠りによるものも多く含まれています。 単に、寝不足や強度の疲労と言う場合もありますが、睡眠時無呼吸症候群によるものも少なくはないと考えられています。 これは明らかに病気であると言うことです。 多くの方は、それを、自分では認識していません。 知っていれば、一大事にならなかったのに、知らなかったばかりに、、、とならないために、この病気について、心当たりがあるか考えてください。 日本には推定300万人の潜在患者が居ると考えられています。

 

1.睡眠時無呼吸症候群 (Sleep Apnea Syndrome : SAS) とは?

 

  睡眠中に、10秒以上の呼吸停止を無呼吸とし、無呼吸が一晩に30回以上、あるいは睡眠1時間あたり5回以上あれば、睡眠時無呼吸と判断されます。 原因としては、空気の通り道である気道が物理的に閉塞されやすくなることが、ほとんどの場合です。 ごく稀に、脳から呼吸中枢への刺激が、滞ることに原因がある場合もありますが、これは心臓機能低下に伴う血流の低下のためと考えられています。

 

2.具体的な症状とは?

 

 『寝ているあいだ』

  ・大きないびきをかく。 

  ・いびきが止まり、大きな呼吸と共にいびきが始まる。

  ・呼吸が止まる。

  ・呼吸が乱れ、息苦しさを感じる。

  ・むせる。

  ・睡眠時間に何度も目が覚める。

  ・寝汗をかきやすい。

 

 『起きたとき』

  ・口が渇いている。

  ・頭が痛かったり、ずきずきする。

  ・熟睡した感じがしない。

  ・すっきりと起きられない。

  ・体が重いと感じる。

 

 『起きているとき』

  ・強い眠気がある。

  ・疲労感、だるさや倦怠感がある。

  ・集中力が続かない。

  ・運転中に眠気に襲われることがある。

 

3.こんな人がなりやすい。!

 

 『生活習慣』

  ・タバコを止められない。

  ・寝る前のお酒が習慣になっている。

  ・太り気味。

  ・暴飲暴食しやすい。

  ・高血圧症、糖尿病、高脂血症、肥満症がある。

 

 『見た目』

  ・首が短い。

  ・首が太く、首周りに脂肪が多い。

  ・下あごが小さく、小顔。

  ・下あごが後方に引っ込んでいる。

  ・歯並びが悪い。

  ・鏡に向かい口を大きく開け、のどちんこがはっきりと見えない。

 

 『性別』

  男性 : 女性 = 2~3 : 1 で男性に多いです。

 

 『年齢』

  男性は、30から60代の働き盛りに多く分布しています。

  女性は、女性ホルモンが低下する閉経期以後に多くなる。

  閉経後は閉経前の3倍程度に増えると言われています。

 

4.セルフチェックリスト

 

  下の8個の質問に、0,1,2,3で答えてください。

      0:全く眠くならない

      1:まれに眠くなる

      2:時々眠くなる

      3:眠くなることが多い

 

 Q1: 座って何か読んでいるとき

 Q2: 座ってテレビを見ているとき

 Q3: 会議や映画館で静かに座っているとき

 Q4: 乗客として1時間自動車に乗っているとき

 Q5: 午後横になって休息しているとき

 Q6: 座って人と話しているとき

 Q7: 昼食後、静かに座っているとき

 Q8: 運転中、渋滞や信号待ちで数分と待っているとき

 

 どうでしたか?

 合計11点以上は眠気あり、16点以上は重症です。 睡眠時無呼吸モニタリングの検査をお勧めします。

 

5. 終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)

 

  睡眠時無呼吸症候群であるかどうかを判定する検査です。

  呼吸状態、酸素濃度、脳の働き、体の動きなどを持続的に測定し、睡眠の状態だけでなく、その質を評価することができます。

  自宅での検査を基本としていますので、いつでもご相談ください。 もちろん医療保険診療の対象です。

 

6.CPAP(経鼻的持続陽圧呼吸療法)治療

 

  それでは、睡眠時無呼吸症候群、と判断された場合には治療が必要となります。 放置していても悪化することはあっても治ることは望めません。

  閉塞性睡眠時無呼吸タイプに有効な治療方法として、世界的にも日本国内でも最も普及している治療方法です。

  CPAP療法の原理は、寝ている間の無呼吸を防ぐために、気道に空気を積極的に送り続けて、気道を開存させておくというものです。 CPAP装置(決して大きなものではありません)からエアチューブを伝い、鼻に装着したマスクから気道へと空気が送り込まれます。  器械を装着しますが、実際に使用されている方の体験では、逆に熟睡できるようになって、機会を装着していたほうが安心であるとの感想がほとんどです。

 

 

不安がある方は、大きな事故や体調不良につながる前に、ご相談ください。